体外受精(IVF)では、排卵期になって自然に排卵される前に卵(卵母細胞)を採取できるよう、排卵誘発剤を投与して卵巣機能を調節・刺激します。排卵誘発剤は卵巣の活動を制御し、複数の卵子の発育を促すとともに、妊娠に適するよう子宮内膜を厚くします。複数の卵子が得られると、移植ならびに胚凍結の可能性が高まります。
当クリニックでは体外受精(IVF)サイクル中、超音波と血液検査をしばしば行って、その経過を医師が注意深くモニターしていきます。経膣超音波検査は、卵胞(卵子を含む卵巣中の液胞)の発育を観察し、薬への反応を判定します。卵胞の大きさで、卵(卵母細胞)の数と発育度が分かります。子宮内膜の厚さと模様も調べ、妊娠への適正が評価されます。また、血液検査でホルモン値を頻繁に測定し、薬の効果をチェックします。
医師が卵子を採取する時期であると判断すると、静脈内鎮静剤を使った麻酔下で、採卵手術が行われます。超音波でモニターしながら、膣壁から卵巣に採卵針を刺し、各卵胞から卵胞液を吸引します。吸引した液は速やかに培養室に送られ、身元証明をした後、インキュベーター内の培養液の中に移されます。採卵技術は痛みを伴わず、回復にも時間を要しません。
採卵をしている間に、男性パートナーは受精に使われる精液を採取します。その中から最も強い精子が選ばれ、授精用のシャーレに移されます。各シャーレには、少なくとも5万匹の精子が卵子とともに入れられ、培養室の厳密にコントロールされた環境の中で培養されます。その後数日に渡って受精状態が注意深くモニターされます。
運動率の良い正常な精子に欠けている場合、単一の精子を卵細胞に注入して受精をはかる、顕微授精法(卵細胞質内精子注入法)という方法がとられます。顕微鏡下、エンブリオロジストが、細いガラス針(精子注入用ピペット)に精子を吸引し、この針を極く微細なピペットで吸引固定した卵子に注入します。この方法は高度の専門技術を要し、精子減少症や精子無力症、奇形、未熟精子などのケースに採用されます。
採卵の3~5日後(細胞の発育状況による)、胚は当クリニックの特別室で子宮に移植されます。この作業は手術ではなく約15~20分で終わり、翌日から通常通りの生活に戻ることができます。移植する胚の数は、年齢、健康歴、胚の質に左右されます。着床は移植後2~5日間に渡って起こります。移植されずに残った胚は、冷解凍に耐えられるとみなされた場合、凍結されます。
着床の成功は、採卵から2週間後に一連の血液検査で確認されます。着床しなかった場合は、排卵誘発剤を中止するとまもなく月経がはじまります。
将来に使用する目的で胚を凍結して保存するプロセスです。余分の胚を凍結することにより、排卵誘発・採卵のステップを繰り返す必要なしに、再度体外受精(IVF)を試みることができます。
すべての胚が凍結に適しているとはいえません。胚の質、発育率に基づき、エンブリオロジストが凍結に適した胚があるかどうか、ある場合はどの胚が適しているかを判定します。胚は品質が低下することなしに、何年間も凍結保存することができます。しかし、すべての胚が冷解凍に耐えるという保証はありません。
女性パートナーから卵子が得られない場合、提供卵子を使用することができます。この治療では、提供者の卵子と男性パートナーの精子を受精させ、その結果生まれた胚を女性パートナーの子宮に移植します。
提供者の身元は、開示あるいは匿名のどちらでも可能です。匿名の場合は、間に仲介者が立ち手続きをします。
胚の発育が5~7日に達した頃、胚盤胞が形成されます。この時点では胚は60~100個の細胞から成り、外細胞塊(栄養膜/後に胎盤となる)と内細胞塊(胚結節/後に胎児となる)の2つの部分に分かれます。自然妊娠では、胚は子宮に到達した時点で胚盤胞期に入っていなければ、正しく着床しません。